これは会社を設立して独立開業をする方向けのお話です。
資本金とは、最初にビジネスに使うために用意したお金のことです。
たとえば、300万円を用意してこれを元手にビジネスを始めるというならば、
その会社の資本金は300万円ということになります。
会社はお金を支払ってもらったかわりに株を発行します。
資本金の出資者は、株主になるというわけです。
この株の保有割合によって、会社の重要な決定事項が決まったりするのです。
社長が100万円の資本だけで会社を設立すれば、
株の保有割合は100%で会社は完全に社長のものとなります。
会社のいろいろな重要な事項を自由に決定することができます。
(会社法や労働法など法律に反するルールを決めることはできませんが)
ですが、たとえば資本が100万円だけでは心もとないので
親兄弟、親戚などから400万円出資してもらって資本金を500万円にした場合、
社長の株式の保有割合は、20%になります。
基本的に、会社の決定は株式の保有率による多数決によって決まります。
保有率20%では、会社の重要な決定を行うときに、他の株主の同意が必要になります。
場合によっては社長を解任されてしまうことだってあります。
ですので、資本金を他の人に出してもらうときでも
最低でも51%、できれば、全体の3分の2以上である67%を社長の出資にしたほうが
安定した経営ができます。
たまに、2人の経営者で力をあわせて会社を切り盛りしていくということで、
株の保有割合を半々にする(持ち分がそれぞれ50%ずつ)会社もありますが、
2人の経営者の意見が合っているときはよいのですが、
意見が分かれてしまうと身動きが取れなくなってしまいます。
50%賛成でも、50%が反対であれば、どちらも同等なので決定できません。
つまり、多数決ができなくなってしまうのです。
今は昔と違って会社をつくるのに資本金は1,000万円も必要ありませんので、
自分ひとりでビジネスを始める分には、
会社設立時に出資できるだけの自己のお金を資本金に投入して、
社長の株の保有割合を100%にしたのち、
足りない分は親兄弟、親戚などから借り入れたほうがよいのではないでしょうか。
他の人が株を持っているということは、それだけ会社の経営に口を挟まれると言うことです。
それは借金をしていても同じことなのですが、借金は返せば済みますけど、
出資してもらった資本金は株主が「株を売りたくない」と言われればそれまでです。
下手したら出資してもらった以上のお金で株を買い戻さなければならないかもしれません。
事業開始のうちは、株式の話どころではなく売上げをなんとか上げていこうと考えることで精一杯ですが、
株の問題は事業が軌道に乗った後に問題になってくるものです。
はじめにしっかり考えておいた方がよいでしょう。
(最終更新日:2023/04/10)