取引をする銀行の数は何行にすべきか?

秋に書いた記事なので季節感を採り入れてみました。

社長の会社は、融資の契約をしている銀行は何行ぐらいありますか?

取引する銀行(信用金庫・信用組合・政府系銀行も含みます)の数については、

1つに絞られている会社もあれば、複数と取引をされている会社もあります。

 

今回は、融資取引を考えたとき何行と取引したらよいか、

またその理由をご説明します。

 

取引数のメリット・デメリット

融資を受ける銀行を1つに絞っている場合

その銀行とより親密な関係ができたり、

また、口座管理が簡単であるため経理部門の効率化が図れるといったメリットがあります。

しかし、融資を受ける際にその銀行から融資を断られた場合、大変なことになります。

 

借りられないまでも金利が高い条件を提示された場合でも

他に融資してくれるところがないのであれば、

嫌でもそれの条件を呑まなくてはならないところがデメリットです。

 

融資を受ける銀行が複数ある場合

ある銀行で融資を受けることができなかった時に、別の銀行に申し込むことができる。

もし、会社の業績がまずまずであれば銀行の間で

金利等の競争をさせることができるといったメリットがあります。

 

しかし、口座管理が複雑になり手間がかかること。

何行からも営業をかけられ、そのお付き合いをしなければならないことが

あるというデメリットがあります。

 
銀行員の本音

銀行とのお付き合いというのは、

そもそも転勤が多い組織であることから、

どんなに親密になれた担当者でも3年も経てば異動になってしまいますし、

担当者以上に影響の大きい支店長になりますと、

大抵2年ほどで他店へ異動になってしまいます。

 

いくら会社が1つの銀行とずっと昔から親密な関係を築き上げてきたとしても、

銀行員としては、社長が思うほどその企業に対しての熱い想いは持っていないものです。

ひとたび損益計算書の経常利益で赤字を出したり、

貸借対照表の自己資本が債務超過になったりすれば、

その企業との今後の取引方針を見直すのが銀行の組織としてのルールです。

 

養うべき家族がいる銀行員が、たまたま1年前に担当した会社のために、

今後の自分の出世や銀行内での立場を一切投げ捨て、

それによって自分の生活を犠牲にしてまで、

なんとしてでもお金を貸そうしてくれると思う方が甘いのかもしれません。

 

これは銀行員を責めても仕方のない話です。

社長が、長年取引されてきた得意先のためだからと、

社員の生活を犠牲にしてまで、無理な値引きや回収条件の悪化に応じるかといえば、

そうされないのと同じことなのです。

 

これが現実ですので、そう考えますと、

自分の身を守るためには、銀行1行だけとの取引で親密な関係を作っておくよりも、

複数の銀行と取引されることの方が安全性は高まるのです。

融資はどこに頼めばよいか?

どの銀行に融資を申し込んだらよいのか考えるためには、

まず、社長の会社が各取引銀行に対し融資シェアや求める役割を

どのように位置づけるかを考えておく必要があります。

 

メインバンクを決めて大きな融資シェアを期待するか、

もしくは各取引銀行の融資シェアが同じくらいになるようにするかなど、

各取引銀行に求める役割を明確に決めて、今後の融資戦略を考える必要があります。

 

 

情報提供や様々な提案を期待するのでしたら

融資金額を多くしてあげませんと、彼らもビジネスですので、

少額の成果しか出ない、つまり融資金額の少ない企業に足繁く通うことはありません。

 

そういったサービスを期待するのでしたら、

それなりの融資残高を与える必要が出てきます。

 

困ったときに相談に乗ってくれることを期待する時も同じです。

取引していても儲からない企業のために「いざという時には何とかしてあげたい」と

思ってくれるお人好しは銀行員にはあまりいないように感じます。

 

 

また、資金使途によっても、申し込みをするのに適した銀行が違ってきます。

運転資金の場合でしたら、皆様が各銀行に求める融資シェア・融資総額に基づき、

融資申し込みをどの銀行にしたら良いかお考えください。

 

 

設備資金については、まずはメインバンクに相談に行くのが筋です。

2番手以下の銀行に申し込む場合でも、必ずそのことをメインバンクの担当者に

一言言っておくことをお勧めいたします。

 

また、設備資金は不動産担保設定がからむことが多いですが、

不動産担保の設定もメインバンクが優先的に配分されるようにご注意ください。

 

2番手以下の銀行が不動産担保設定する際も、メインバンクに一言言うのがマナーです。

メインバンクに不信感を抱かれることがないよう、細心の注意が必要です。

まとめ

私がお客様から「何行ぐらいの銀行と取引したらよいか」と問われたら、

融資を受けなければならない会社であれば、

少なくとも2行以上との取引をお勧めしています。

 

銀行借入れも結局仕入と同じで、購入条件を比較して、条件のよい方と取引する。

その取引先が1件しかなかったら条件の比較もできないし、

条件が悪くてもそこと取引しなければならなくなる。

 

だったら他の仕入先を見つけるしかない。

そのようなわけで、

融資先も1行だけでなく、2、3行はないといけないというわけです。

 

(最終更新日:2022/10/19)

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