マイナス金利解除で銀行取引はどうなる?
今回は、マイナス金利政策解除後の対応についてです。
約10年続いた「マイナス金利政策」の解除が
日銀総裁より発表がありました。
「マイナス金利政策」が解除されることにより
金融取引への影響を懸念される社長様は多いと思います。
そこで、どのようなことが懸念されるか、
金融取引の注意点をお伝えします。
・預金金利の上昇
金融機関は、日銀に預けても利息を取られなくなったため、
預金を抑える必要がなくなります。
その為コストが減り預金金利の上昇に期待ができます。
4月から普通預金金利0.001%から0.02%に、引き上げをしている金融機関もあります。
・貸出金利の上昇可能性
マイナス金利によって日銀が定めていた金利が-0.1%で、
そこから0.1%に引き上げになり、
その結果、短期金利は0.1%程度引き上げが行われます。
金融機関の金利に直接関係のある短期プライムレートは据え置きになったため
すぐに金利上昇の影響は小さいと思われますが、
今後の利上げ幅には注視が必要です。
・融資が受けにくくなる可能性がある
マイナス金利の中では金融機関が日銀への預金に対して金利を支払っていたため
企業への融資に積極的でしたが、マイナス金利がなくなったため、
銀行はリスクを取ってまで融資をする必要がなくなり、
融資の基準が厳しくなっていく可能性があります。
① 表面金利と実質金利を考える
金融機関が考える金利には、
「表面金利」と「実質金利」の2種類があります。
「表面金利」は金融機関から提示される金利のことです。
「実質金利」は、金融機関の内部的な金利の考え方で、
(支払利息-受取利息)÷(借入金-預金)×100
の計算式で算出できます。
融資取引のある金融機関に預金が多くある場合には、
金利の引き下げ交渉もできるかもしれないので、
金利上昇が懸念される状況の中では
自社の「表面金利」と「実質金利」を把握することは
大事なことになってきます。
②金融機関からの預金勧誘には注意
今回のマイナス金利政策解除により預金金利が上昇傾向にあることから、
各金融機関が預金増強キャンペーンとして
金利条件が良い商品提案があるかもしれません。
中でも定期預金が代表的なものですが、
金利条件が良いからといって
多く預け入れをしてしまうのは注意が必要です。
急に資金が必要になり引き出したくても、
すぐに解約してもらえなかったり、
定期預金は、担保と同じように見られている可能性があるので、
融資審査に影響が出てしまうこともあるからです。
今回は「マイナス金利政策」解除について解説しました。
上記で述べた通り、預金金利はすぐに上昇しても、
貸出金利のすぐの上昇の可能性は低いと思われます。
しかし、日銀の今後の利上げ幅しだいでは貸出金利の上昇も十分考えられます。
取引している金融機関の実質金利を計算して、
一覧表の作成で取引状況を整理し、
金融機関で競合させることや、
表面金利が高い金融機関には多く預けることで
表面金利の引き下げ交渉もできるかもしれないので、
今から対策を考えていくことも必要になってくると思います。
(最終更新日:2024/5/29)